日本・世界の自転車と街
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2021年2月10日

2月1日【琉球王国建国記念の日】自転車で旅する歴史散歩/琉球文化の故郷・沖縄南城市グスク巡り

1400年代前半に現在の沖縄県南城市周辺を治めていた按司(あじ/豪族)である尚巴志(しょうはし)によって群雄割拠の琉球の地が統一されたことにより誕生した琉球王国。琉球王国の外交文書を集めた「歴代宝案」の中に、宣徳帝が1425年2月1日に尚巴志を琉球王国の王として認定したという記録があることから、この日が【琉球王国建国記念の日】とされています(「一般社団法人 日本記念日協会」による)。

尚巴志のような按司の軍事拠点としてだけでなく、その内部に信仰の聖地である御嶽(うたき)が置かれ、沖縄独自の文化が色濃く反映されているグスク(城)。2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として日本国内で11番目となる世界遺産にも登録され、琉球王朝の居城であった首里(しゅり)城跡や、優雅な石垣が残る今帰仁(なきじん)城跡、勝連(かつれん)城跡など9カ所が指定遺産群となり、今では多くの人が訪れる観光地となっています。

しかし、沖縄には世界遺産に指定された遺産群以外にも多くのグスク跡が点在します。とくに沖縄本島南部の南城市には、グスクロードと名付けられた通りも整備されるなど、数多くの魅力的なグスク跡が残り、今なお息づく琉球文化を感じながら歴史ツーリングを楽しむことができます。

グスク巡り前に絶景スポットで一休み。大海原に飛び出す!“ニライカナイ橋”を一気に下る

大海原に飛び込むように続く“ニライカナイ橋”。海の向こうには、神の島と呼ばれる“久高島”を望むことができます

今回紹介するコースのスタート&ゴールは南城市の中央部にある“ユインチホテル南城”(南城市佐敷字新里1688)。ホテル前の一般道を東へ進むとすぐに歩道から分かれる形でサイクリングコースが始まり、道は自然に“ニライカナイへの道”と呼ばれる県道86号線に合流します。県道86号線をしばらく進むと見えてくるトンネルを抜けた先に広がるのが、沖縄本島の中でも屈指の絶景スポット“ニライカナイ橋”です!

しかし、このニライカナイ橋を一気に下って行く前に(まだ1カ所もグスクを見ていませんが・・・)近くのカフェなどに立ち寄ることがオススメです。高台に位置するこの周辺には眼下に大海原を見ながら食事などを楽しめるお店が多く、観光ガイドにもよく取り上げられているので、コースから少し離れてランチなどを楽しみましょう。

鬱蒼とした森に佇むグスクと御嶽。観光スポットでは味わえない琉球文化を垣間見る

沖縄本島南部最大の“糸数グスク”跡。鬱蒼とした森の中に琉球石灰岩を使った美しい石垣が残ります

ニライカナイ橋を下り、国道331号線を左折。与那原方面に進み、佐敷小学校の手前に見える鳥居を左折してくぐり、さらに進むと尚巴志が居城とした“佐敷上グスク”跡が見えてきます。

次のグスクへは、さらに国道331号線を進み、「津波古」交差点を左折して県道137号線に入り、上り基調の道を進むとスタート地点であるユインチホテル南城の近くを通過。そのまま県道137号線を進み「親慶原(おやけばる)」交差点を右方向・県道86号線へ。少し進み「糸数城跡」方面を示す看板が道脇に見えたら左折。両脇にサトウキビ畑が続く道を進み、右手に戦時中避難壕としても使われた自然洞窟「糸数アブチラガマ」の看板を過ぎてすぐ斜め左に上っていく細い道(未舗装)を進むと現れるのが“糸数グスク”跡です。この糸数グスクは沖縄南部最大のグスク跡で、森の中に壮大な城壁が今なお残る姿は圧巻です。

「親慶原(おやけばる)」交差点方面から進み、「糸数アブチラガマ」手前を左折して続く道がグスクロードです。道沿いには“玉城グスク”や“ミントングスク”、“垣花グスク”と、多くのグスク跡を訪ねることができます。道なりに進み「親慶原」交差点を通過してユインチホテル南城でゴールとなります。

軍事拠点としてのグスクという性格上、そのほとんどが高台に位置するため、途中にはアップダウンが連続する場所もあり、走り応え十分な距離40km近いコースですが、ユインチホテル南城には沖縄では数少ない日帰り温泉施設も併設されているので、走り終わった後はゆっくり疲れを取ることができます。

今回紹介したグスク以外にも、数多くの史跡が残る南城市。なかには鬱蒼とした森の奥に石垣が残るグスク跡や、グスク内にある御嶽に今なお地域住民からのお供え物が置かれるなど、観光地のグスクでは感じられない「飾らない」雰囲気がより一層迫力のある景色として迫ってきます。沖縄を訪れた際にはぜひ南城市のグスク跡を巡り、琉球文化の奥深さを垣間見るライドがオススメです。

飲料水、洗濯、野菜洗い、そして五右衛門風呂まで設置されて珍しいタイプの共同水道施設“仲村渠樋川(なかんだかりひーじゃー)”。グスクロード近くで見ることができます

筆者プロフィール

星野知大/スポーツ&ジオグラフィックジャーナリスト

日本最大級のスポーツ自転車ショー「サイクルモード」のディレクター&司会、東京都観光まちづくりアドバイザーを務めるスポーツ&ジオグラフィックジャーナリスト。ヨーロッパを中心とした各地を取材し、とくに北イタリア・南ドイツ・イギリスに独自のコネクションを持ち、ユーロバイクや台北ショー、シーオッタクラシックなどの取材経験も豊富。
沖縄で開催されていたロングライドイベント「美ら島オキナワ センチュリーラン」の戦略プロデューサーを務めていた5年間は年の1/3程度を沖縄に滞在し、沖縄本島各地を自転車で回った経験も持つ。
web記事では、@ DIME(小学館)や日経トレンディネット(日経BP社)などに記事を多数掲載。「東京都 伊豆大島」、「三宅島」、「伊豆3島」、「茨城県 行方市」、「所沢・飯能・狭山・入間サイクリングMAP」の制作も担当。