日本・世界の自転車と街
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様々な分野で活躍するサイクリストが語ります。

2021年5月29日

「地域と自転車販売店」大阪・カワハラダCYCLE/ロングライドの“隠れた”必需品ディレイラーハンガー。ライド途中での交換手順を覚えよう!

晴れの日は店先で作業することも多い川原田剛さん。バイク・周辺アイテムの販売だけでなく、ギヤ周り洗浄からコーティング仕上げなども行う洗車コースも人気

日本最大の前方後円墳である仁徳天皇陵古墳のすぐ北側に店舗を構える「カワハラダCYCLE」(大阪府堺市堺区東永山園2-30)。戦後、様々な商品を取り扱ういわゆる“何でも屋”から始まり、その後自転車専門店、さらにロードバイク専門店へ発展。現在3代目の川原田剛さんがオーナーを務め、その気さくな人柄に惹かれて近隣だけでなく遠方からもサイクリストが集う人気店となっています。

川原田さん個人は全日本実業団サイクルロードレースにも出場経験があり、お店ではグルメを楽しみながら走るロングライド企画なども実施しています。川原田さんの軽快なトークと自身がトレーニングライド途中で見つけた知る人ぞ知る(?)グルメスポットに立ち寄る楽しさなどが人気で、他店でバイクを購入したお客さんも多く参加。一緒に走りながら乗り方やパンクトラブルなどが発生した時はその場で修理の仕方をレクチャーすることもあります。

そんな川原田さんに聞きました――

「ロングライドに持っていく必需品は何ですか?」

交換用ディレイラーハンガーはチャック付ポリ袋に入れて携帯がオススメ! 

川原田さんによると「ロングライド途中のトラブルと言えばパンクの発生確率が高いですが、お店のロングライドに参加した人(他店で購入された方でしたが・・・)に『変速機の調子が悪い』と言われて確認してみると、ディレイラーハンガーが曲がっていたことが数回ありました」とのこと。

リアディレイラー(後変速機)はディレイラーハンガーと呼ばれる部品でフレームに装着。走行中や輪行時などに誤って石や壁にブツけて後変速機へ横方向から強く衝撃が加わってしまった場合、このディレイラーハンガーが曲がってしまうことで変速そのものが正しく作動しなくなるトラブルが発生します。

「ディレイラーハンガーが曲がった状態で無理に走り続けてしまうと、折れて後変速機が脱落してしまうこともあります。場合によっては脱落したディレイラーをホイールが巻き込んで大事故につながってしまうので、すぐに修理してください」(川原田)

ディレイラーハンガーが曲がってしまった場合は、一度後変速機を外して新しいディレイラーハンガーに交換後、再び後変速機を装着して対応します(一部のバイクではフレームとディレイラーハンガーが一体タイプもあり、その場合は交換できません)。川原田さんはロングライドや自転車旅に出かける際、携帯工具やパンク修理道具に加えて交換用のディレイラーハンガーの携帯をオススメしています。

パンク修理などと比べてディレイラーハンガーが曲がるトラブルの発生確率は低く、長期間サドルバックなどに収納しておくと汚れてしまうことも多いため、川原田さんは「チャック付ポリ袋などに入れておくと便利。携帯工具や交換用チューブもポリ袋に入れて携帯することで雨に濡れて汚れることを防いでくれます」とアドバイスしています。

ディレイラーハンガーの形状はメーカー・モデルごとに異なり、市場では400種類以上が販売。自分のバイクに合ったディレイラーハンガーを用意することが重要
ライド途中で修理に駆け込んだショップに自分のバイクに合ったディレイラーハンガーが用意されていないことも多いので、自分で交換用ハンガーを携帯しよう

出先でのディレイラーハンガー交換は応急処置。帰宅後は必ずプロショップで再調整が必要!

ロングライドや自転車旅の出先で後変速機をブツけた時や木の枝をチェーンに巻き込んでしまった場合、最初にバイクの後ろ側からリアギアのトップ(いちばん小さなギア)と後変速機のプーリー(後変速機下側の2つの小さなギア)の位置を見て曲がっていないか確認します。この時リアギアとプーリーがまっすぐになっていればディレイラーハンガーは曲がっていないため交換の必要はありません。

ディレイラーハンガーが曲がっていた場合は新しいハンガーに交換します。ここでは自宅に戻ってくるまでの出先での応急修理法を紹介。上記の確認〜修理作業は、クルマの通行がなく、歩行者の邪魔にならない平らな場所に移動してから行ってください。

①後輪を外して、車体を逆さに置いて安定させる

ディレイラーハンガーの交換は本来、作業台に固定して行いますが、出先では後輪を外してバイクを逆さにした状態で作業します。この際、ボトルから水が垂れて周囲が濡れてしまう失敗を防ぐため、水などが入ったボトルを取り外しておきます。

後輪を外す際はまず一番小さい(重い)ギヤに変速。ディレイラーハンガーが緩んでいる場合もあるので、注意しながら変速することが重要
キャリパーブレーキタイプの場合、ブレーキキャリパーの肩にあるレバーを操作して間隔を開けてからホイールをスムーズに外す
後輪を外した後、バイクを逆さにした状態で置く。ライトやサイクルコンピューターなどが地面に接してしまう場合は、逆さにする前に外しておく

②後変速機・曲がったディレイラーハンガーを取り外す

後変速機・ディレイラーハンガーを着脱する際は、携帯工具では作業しにくいので、事前に作業で必要なサイズのアーレンキー(六角レンチ)を単体で用意しておくと便利です。ディレイラーハンガーのタイプによっては空転止めスパナも必要な場合もあるので、自分のバイクに必要な工具を確認して用意しましょう。

携帯工具で後変速機を外す際は、しっかり奥まで差し込んで片手で後変速機を固定しながら力を加えるのがポイント。後変速機を外した後、曲がったハンガーを取り外す

③ディレイラーハンガーを交換する

曲がった後変速機を取り外した後、本来はブラシとパーツクリーナーでフレームの接触面を洗浄する必要がありますが、出先では軍手やティッシュなどでできる限り綺麗にしてから新しいディレイラーハンガーに交換します。

ボルトの固定もメーカー指定のトルク(締め付けの強さ)で行うことが重要ですが、専用工具がなければトルクを測ることはできないため、ここではしっかりしめて指で強く押しても動かないことを確認しましょう。

ボルトをしめる&緩める作業時にはボルトの穴をナメない(壊す)ようにアーレンキーを奥まで差し込み、片手でしっかりフレームを安定させて作業する(写真では見やすいように片手を外して撮影)
ディレイラーハンガー装着後には指で軽くゆっくり左右に動かして、しっかり固定されているか確認。この状態でハンガーが動く場合はしっかり固定されていないため、後変速機を装着するのはNG!

④後変速機を装着する

後変速機を再装着する際は、本来トルクレンチを使ってメーカー指定トルクで固定されていることが重要です。今回は出先での応急修理のため、無理のない強い力でしっかりしめましょう。また後変速機再装着後には変速調整も行う必要があるため、ライドから無事帰った後にプロショップでディレイラーハンガー・後変速機を適正トルクで装着し直してもらい、変速調整なども受けるようにしましょう。

後変速機内側の小さなネジがディレイラーハンガーの出っ張りに当たる位置(写真矢印部分)で固定。正しい位置が分かるように取り外す前にこの部分の写真を撮影しておく
携帯工具で後変速機を固定する際は奥まで差し込み、しっかり固定する。応急修理後はプロショップで適正トルクで固定し直すことが重要