日本・世界の自転車と街
旅や仕事・日常生活を通して、日本そして世界の自転車にまつわるトピックスを、
様々な分野で活躍するサイクリストが語ります。

2021年10月29日

「街の自転車技術」大阪・パナソニック サイクルテック/国内製造にこだわり、次世代を活きるサイクルライフを提案するナショナルブランド

日本における自転車産業は第二次世界大戦後から生産台数を右肩上がりに伸ばし、かつて国内では自転車本体、周辺パーツを製造する多くのメーカー、工場が稼働していました。しかし、1990年代に入ると生産台数は縮小傾向と転じ、2000年に入ると輸入台数が国内生産台数を上回り、2020年のデータでは輸入台数が約630万台に対して国内生産台数は約86万台となっています(「自転車産業振興協会」自転車生産動態・輸出入統計)。

このように日本で生産される自転車台数が減少している現在においても、製品企画から加工・製造、組立・梱包まで国内一貫生産を続けるナショナルブランドがパナソニック サイクルテック(以下、パナソニック)です(一部の製品を除きほぼ100%国内工場で組み立て作業を行っている)。今や日常生活用として定番アイテムとなった電動アシスト自転車から、1mm単位のフルオーダーも可能なロードバイクまで、大阪・柏原工場で製造されています。

世界初の“電気自転車”を開発したパナソニック。いまや“電動アシスト自転車”国内シェアNo. 1!

日本で誕生した電動アシスト自転車は当初シニア向けが中心でしたが、子乗せ用の需要が高まり、さらに近年ではスポーツタイプのe-BIKEなど車種多様化が進み、2016年に全自転車販売台数に対する電動アシスト自転車の普及率が7.5%だったものが2020年には10.8%に拡大するなど、利用者が増えています(パナソニック サイクルテックによる推定値)。そんな電動アシスト自転車ですが、海外からも多く輸入されているなか、現在パナソニックが国内シェア約45%を占めています(パナソニック サイクルテックによる推定値)。

多くの電気製品を製造するパナソニックによる“電気で走る自転車”の歴史は古く、創業者・松下幸之助の「電気屋らしい自転車を作りなさい」という号令のもと、サイクルテックだけでなくパナソニック本社の技術陣も加わって作り出されたのが世界初の電気自転車「エレクトリック サイクル」。電動アシストではなく、ナンバープレートも付いた電気で走る原動付自転車(いわゆる原付)で、1980年にテスト販売のみ行われました。

その後、1996年にはパナソニック初の電動アシスト自転車「陽の当たる坂道」を発売。2000年にバッテリーをニッケル・カドミウム蓄電池からニッケル・水素充電池に変更し、2002年にはリチウムイオン電池を業界で初めて採用。さらにフレーム素材やモーターの構造なども改良して軽量化を進めたことなどにより人気が拡大。2002年頃から電動アシスト自転車の国内シェアトップとなりました(パナソニック サイクルテックによる推定値)。

自動溶接&環境負荷低減が進んだ大阪工場が稼働。同社従来品比約24%軽量なドライブユニット登場!

電動アシスト自転車の需要増などを受けて、大阪・柏原工場をリニューアルし、2021年10月に発表されました。ロボットによる自動溶接や粉体塗装技術によって生産能力を向上させるだけでなく、被膜処理設備(塗装工程の一つ)では使用する水の量を減らし、塗装には車体に付かなかった塗料を再利用することのできる粉体塗料を採用することで環境負荷低減を実現しています。

ロボットによる溶接の自動化によって安定した品質と生産能力従来比130%を実現
再利用可能な粉体塗装と1回の吹き付けで塗装を完了することで環境負荷を低減

大阪・柏原工場では、同社従来品と比べて約24%(約900g)の軽量化に成功した電動アシスト自転車のモーター部分である「カルパワードライブユニット」の製造が始まっています。

「カルパワードライブユニット」はドライブユニット内の基板のアナログ回路を減らしてデジタル方式を組み込むことで部品点数を減らし、ネジ1本まで軽さにこだわった製品。ドライブユニットやバッテリーが搭載される電動アシスト自転車は一般的な自転車よりも重量が増え、降りて押し歩きする際などには取り回し難くなってしまうため、パナソニックでは質量の軽さも追求して“乗っても、降りても軽い”自転車を目指す製品づくりがされています。

2021年12月から販売される「ビビ・SL」は、カルパワードライブユニットに加え、フレーム形状の一部を卵型にすることで強度を保ちながら軽量化を図り、バスケットにもカーボンを配合することで、重量19.9kgを実現。とくに車重の軽さが必要とされるシニア層にも使いやすいモデルとなっています。

サドルの高さを同社従来品と比べて約5cm低くし足が地面につきやすくなった「ビビ・SL」。停車時の乗り降りも安定

IOTデータを活用し、付加価値がつけられた商品・サービスがサイクルライフを豊かにする

パナソニックでは2019年5月から神奈川県横浜市の「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」においてシェアリング自転車に通信機能を搭載したIOT(様々なモノがインターネットでつながること)電動アシスト自転車を展開しています。

さらに2020年10月からは愛知県みよし市の大規模戸建分譲地「TENKUU no MORIZONO MIYOSHI MIRAITO」のシェアサイクルステーションでスポーツタイプのe-BIKE「XU1」が採用されるなど、日常生活用だけでなく、スポーツタイプの自転車からも集められた走行範囲、距離などのデータを蓄積・解析することで、より良い製品作り・サービス構築の進むことが期待されています。

「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」シェアサイクルに採用されたミニベロタイプの電動アシスト自転車

みよし市のシェアサイクルでは独自開発のスマートロックを採用。スマートフォンで予約や開錠が可能